East meets West ―伝統と今様が織りなす彩月―
ファッションや住空間は、色の知識さえあれば、様々な世界観を生み出すことができます。心落ち着く秋が到来した今、四季折々の自然から生まれる日本の伝統色から学び、自身や大切な人の日常を彩る色合いに出会う旅へ誘われます。
1階 コトコトステージ12では、East meets West ―伝統と今様が織りなす彩月(いろどりづき)―を開催。日本人が培ってきた美意識、世界に誇る日本のモノづくりの底力を、東洋と西洋の融合を越えたグローバルな視点で提案します。
今回は食空間プロデューサー 戸口絢賀(とぐち あやか)さんが、日本の伝統色というひとつのテーマをもとに、日本画家や、京都の老舗職人たちとのコラボレーションを東洋と西洋の歴史や文化、感性を織り交ぜ、キュレーションを手がけます。 イベント開催に先駆け、戸口さんに“伝統と今様が織りなす彩月”のキーワードとなる“かさねの色目”のこと、キュレーションを手掛けた商品のことなどを伺いました。
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◆「染司よしおか」植物染めのストール
「染司よしおか」
京都･伏見の工房で丁寧に手染めされたストール
京都で江戸時代から続く、「染司よしおか(そめのつかさよしおか)」。六代目･吉岡更紗さんは、先々代、先代から受け継いだ伝統の日本の色を守り続ける染織家。古来の日本の色を継承し、毎年、東大寺修二会や薬師寺花会式など、古社寺の行事に関わっています。「染司よしおか」からは、暮らしに取り入れやすい植物染めのストールなどが登場します。
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◆日本画家 諌山宝樹 原画監修「寝待月唐子図」レターセット
左)諌山宝樹 原画 「寝待月唐子図」
右)「寝待月唐子図」レターセット(便箋/封筒/「天香堂」謹製文香)1,540円
――日本画家の諌山宝樹(いさやま たまじゅ)さんに注目されたポイントを教えてください。
「諫山先生は、紫式部の生涯を描いた大河ドラマの衣装デザインを担当されており、華やかな平安時代の文化や日本の伝統色にお詳しく、また創作される日本画の作品、色使いなどに興味をいだきました。描かれる美人画と唐子の違った作風も奥深く、イベントの開催時期に登る月が、ちょうど寝待ち月の頃であることから考案し『寝待月唐子図』をイメージした構図で描いていただきました。イベントで展示販売の原画は、扇子やレターセット等の商品でコラボレーションいたしました」
「また、『寝待月唐子図』をモチーフにした、自然派料理で知られる『amasora(アマソラ)』のクッキー缶“やおよろず”も監修しております」
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◆伝統色で染め文様や『源氏物語』にちなんだ古帛紗
古帛紗
無地 各3,300円
銀彩雪華文様 各5,830円
金銀彩源氏香ノ図(紅葉賀)6,930円
――日常に取り入れることのできる衣食住遊知コンテンツを今回アーティストや職人とコラボレーションで戸口さんがキュレートされたということですが。日本の伝統色である“かさねの色目”から企画された古帛紗をオリジナルで作られたとか。
「正絹の白生地反物を伝統色で染めあげ、『源氏物語』の巻にちなんだ柄や文様を金銀彩で入れております。古帛紗は香合や香炉などを置いて飾ったりしますが、小さめの香皿にお香を立てカジュアルに敷物としてもお使いいただけるよう考案いたしました。伝統色に金銀彩をワンポイント入れることで華やかさと季節感を表現しております」
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◆『源氏物語』にちなみ四季を表現「有職菓子御調進所 老松」謹製 琥珀糖
「有職菓子御調進所 老松」謹製 琥珀糖 1箱(2個入り) 1,188円
春“桃のかさね”萌木と紅梅/『源氏物語』34帖「若菜上」
夏“葵のかさね”薄青と薄紫/『源氏物語』25帖「蛍」
秋“移菊のかさね”黄と紫/『源氏物語』7帖「紅葉賀」
冬“雪の下のかさね”紅と白/『源氏物語』32帖「梅枝」
――「有職菓子御調進所 老松」のオリジナル和菓子をプロデュースされたそうですが、そのお菓子についてお聞かせください。
「『有職菓子御調進所 老松』謹製の琥珀糖は、1箱に2個ずつベースの色に春･夏･秋･冬の“かさねの色目”を使用し、一つに源氏香ノ図、もう一つには『源氏物語』の巻にちなんだ季節を表現しています」
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「有職菓子御調進所 老松」は、明治41(1908)年に京都でも歴史の古い花街である上七軒で創業した京菓子屋。越前和紙懐紙五色の上に乗せて
「平安貴族のお洒落を競う十二単、季節を先取りした“かさねの色目”は、規定の配色があり貴族達の教養がはかれるところでもありました。春･夏･秋･冬そして四季通用に分けられた“かさね色”には季節の色が表現されています。例えば春は“紅梅”、夏は“杜若”、特に秋の“移菊”や冬の“氷重”など目に浮かぶ自然界の美しい色に先人達の豊かな感性を垣間見ることができます」
「秋の琥珀糖は、黄と紫で“移菊”のかさね色を、『源氏物語』7帖「紅葉賀(もみじのが)」にちなんだ絵と源氏香ノ図を合わせています。青海波(せいがいは)は「紅葉賀」の巻で光源氏が青海波を舞うことから紅葉とともに表現しています」
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◆越前和紙懐紙五色
越前和紙懐紙五色
(女性用)各880円
(男性用)各1,100円
――越前和紙の懐紙も作られたとか。どのような懐紙でしょうか。
「懐紙に拘った五色は、中国の思想“陰陽五行”に基づいた魔除けの色であり色を語るに重要な色彩です。しかしながら意外にも懐紙の縁に五色を付けた仕様はあまり無く、また『源氏物語』の作者、紫式部ゆかりの地、越前で作られる上質な越前和紙でぜひとも懐紙を作りたいと思ったことから商品化につながりました。懐紙は敷紙以外に箸袋や一筆箋としてもご利用いただけます。女性用のほか少し珍しい男性用は大きめで使いやすく、日常からおもてなしに幅広く活用いただけるアイテムです」
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◆「宮脇賣扇庵」謹製扇子
上)「宮脇賣扇庵」謹製 “源氏香ノ図”8,910円
下)「宮脇賣扇庵」謹製 両面手描き“重陽”18,480円
江戸時代からほぼすべての製品を自社で製造販売してきた「宮脇賣扇庵」。三代目が工芸品としての飾り扇を考案した後も、その伝統と技法は今日に継承されています
――扇子の老舗、京都の「宮脇賣扇庵」と企画された扇子はどのような扇子でしょうか。
「扇子は、あおぐ以外にお茶席や様々な場面で使われます。手描きの“重陽”を図案として選んだ理由として初秋は、まだ残暑厳しい気候。この頃に使う扇子の柄は、真夏のモチーフより秋を代表する菊を。また旧暦“菊の節供”に飾っていただく室礼にも重宝いたします。“源氏香ノ図”とともに風がきやすい男性用のサイズで作っていただきました」
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◆「天香堂」謹製 “四季のかさね”
薫香製造商 京都「天香堂」謹製「La vie au Japon Collection」“四季のかさね”
春･夏･秋･冬-4種類(化粧箱)2,497円
春･夏･秋･冬-4種類(桐箱)2,992円
春･夏･秋･冬-全種類(桐箱)11,000円
桂離宮畔に構える工房兼店舗では全国各宗派、総本山御用達として天然の香原料のみを吟味し、本物の香りを追求した変わらぬ品質を守る、薫香製造商 京都「天香堂」
――「天香堂」のお香も出品されるご予定ですが、どのようなお香でしょうか。
「伝統色かさねの色目から春は“紅梅”、夏は“葵”、秋は“桔梗”、冬は“枯野”をイメージした色彩で組み合わせた香材は、香木の白檀、沈香(じんこう)に天然の生薬である桂皮(けいひ )、丁子(ちょうじ)、龍脳(りゅうのう)等で丁寧に作られています。お香の色は、紅殻(べんから)や青竹等で着色するなど自然素材にこだわった職人の細やかな手仕事で仕上げられております。私がプロデュースを手掛ける『La vie au Japon Collection』のみ『天香堂』謹製のお取扱いを賜り、この度のコラボレーションでは“四季のかさね”という色彩美しい八種類のお香セットを開発いたしました」
――“East meets West ―伝統と今様が織りなす彩月―”は“かさねの色目”がキーワードとか。イベントを通して戸口さんが伝えたいことは何でしょうか。
「色は、見た目の印象を左右する衣食住において重要な要素で季節を感じたり暮らしのなかで最も身近に愉しめます。日本の伝統色は、長年にわたり注目してきた経緯から今回のイベントで“かさねの色目”をキーワードに展開する運びとなった理由の一つとして、昨今の紫式部ゆかりのテレビドラマなどが大きく影響しております。映像で繰り広げられる平安絵巻、貴族の装束、十二単を纏った雅な世界に魅了されている方が多いのではと思います」
「1000以上にも及ぶとされる日本の伝統色は、日本独特の美しい名称がつけられ、季節に詠まれる和歌など古典文学に綴られています。商品アイテムから愉しみが広がる“大人の学び”現代の暮らしに役立つ色彩のセンスが養われる機会となれば嬉しく思います」
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◆キュレーションを手掛ける、食空間プロデューサー 戸口絢賀
＜戸口絢賀(とぐち あやか) プロフィール＞
食空間プロデューサー。 大学卒業後、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミーに入学、インストラクターコースを経て卒業後は住宅、マンション、ホテル等コーディネートの仕事に携わる。 一方ではフラワーアレンジメント教室からスクール事業を開始、現在は芦屋を拠点に東京･福岡･金沢にて「戸口絢賀 食空間デザインスクール」を展開。 近年では「La vie au Japon Collection」のブランドを立上げ、暮らしを愉しむ四季に彩りを添えるテーブルウェアや室礼に関する商品開発を手掛けている。 陶磁器ブランドとの取り組みにおいてはオリジナル商品の開発、コラボレーションイベントを多数プロデュース。百貨店での催事にも参画している
■East meets West ―伝統と今様が織りなす彩月―
◎9月18日(水)～10月1日(火)
◎1階 コトコトステージ12
Special Edition
伝統と今様 ―日々に新たな彩りを―
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