[あの人に聞く「おもてなし」。] [Time of "Grace" 本館4階] [おもてなし] [インテリア] [器]
2022.11.10
売場ニュース
「おうちを素敵に、おうちで素敵に」をコンセプトに、フラワーアレンジメントや、自宅に招く時・招かれる時のおもてなしマナー、そしてフォトレッスンなどのサロンを主宰している花房 英子さん。マナーや花にはじまり、建築から写真まで、自分だけでなく周りの人も心地いい空間を探求し学び続ける花房さんが考える「おもてなしとは」。クリスマスをテーマにコーディネートされた空間でお話を伺った
この日はクリスマスをテーマにした黒を基調としたシックな雰囲気のテーブルコーディネートで迎えてくださった。
海外では一番大事な人を家に招く。
私の生まれは神戸ですが、父の仕事の関係で海外で暮らすことがすごく多かったんです。海外の暮らしで印象的だったのは、人を家に招く文化。その中でも特に、一番大事な人は必ず自分の家に招くということ。それって「あなたのことをこんなに大事に想っていますよ」という表現なんですよね。とはいっても特別何かを準備するというよりは、すごく自然にリビングやダイニングにお花があって、招く側も招かれる側もリラックスできるようなおもてなしが暮らしの中にありました。
だから私自身もそういう空間を暮らしの中に楽しく取り入れたいと思っています。そしてその空間にはマナーも必要だというのが私の考えです。
お互い気持ちよく居られるためのマナー。
“マナー”と聞くと厳しいとか縛られるものというイメージを持たれがちですが、そうではなくて、マナーは思いやりの気持ちなんです。マナーにも国によって違ったり、種類がありますが、私がサロンでお教えしているのは「プロトコールマナー」という世界共通のマナーで、もともとは外交官などの国同士の集まりの時に決められたもの。国や風習が違う人たちが集まると、自分がいいと思っていることが相手にとっては失礼だったりして、誤解やトラブルが起こりやすい。だからお互い気持ちよく居られるためにマナーが生まれたんです。
後ろの壁に飾ってあるのは花房さんの写真作品。「空間を作り出したらそれを写真におさめられるようになりたくて」写真の学校に通い、卒業後は授業を任されるまでになったという。
全てにちゃんと理由がある。
ナイフとフォークひとつとってもフォークの方が短いのは、ナイフとフォークを持ってお肉を切るときに体が歪まずに真っ直ぐになるように。工学的に人が使いやすく美しく見えるように作られているんです。お皿の位置もそう。テーブルから拳ひとつ分くらい開けて座って食事をするのが一般的ですが、その時にナイフとフォークを構えたところで食事しやすいように、プレートの大きさによって位置を変えてセッティングすれば、姿勢が美しいようになっている。すべて理にかなってます。
だからもてなす側がそれを守っていれば、もてなされる側は何も考えなくても自然と美しい姿勢で食事ができる。もてなす側の思いやりなんですよね。マナーは相手をしめつけるものでは決してないんです。
大事なのは自分で使い分けられること。
でも、私はマナーを駆使することが大切なわけではないと思っています。私だってマナーの先生なの？ってびっくりされるくらい、カジュアルな場では全然何もしないこともあります。じゃあどうして必要なのか？というと、知識を持っていることで、安心してその場のコミュニケーションを楽しめます。要はTPOによって自分で使い分けることができればいい。
自然体とマナー。真逆のように思える関係性。
私は人が自然体でいる時が一番美しいと思います。でもどんな時でも自然体でいるって難しい。初対面の方と会う時や知らない世界に飛び込む時は、緊張したりちょっと防御したりして、その人の魅力が損なわれたりすることがあります。それはもったいないなって。だからせめてそういう時にマナーという知識が、その人に自信を持たせてより自然体でいられるようになればいいなと思います。そして自分が美しくいようとすることは、相手を不快にさせたくないという思いやりでもある。そういう意味では、マナーを知っておくことが私にとっては「おもてなし」ということなのかもしれません。
花房英子さん
フラワーデザイナー、食空間コーディネーター、フォトグラファー、商業施設士、プロトコールマナーアドバイザー、プロトコールジャパン株式会社代表取締役
老若男女問わず一般社会でのコミュニケーションツールとして「身近なプロトコール」を40年前から提唱しているプロトコールマナー研究家の母と2009年プロトコールジャパン株式会社設立。
ライフスタイルの提案を花、食空間、フォトを通して行っている。 主宰するmaison FLOWERTUFTでは「おうちを素敵に、おうちで素敵に」をコンセプトに、自宅に素敵に花を飾るスタイリッシュフラワーアレンジメント・自宅に招く時、招かれる時のリビングルームダイニングルームでのおもてなしマナー・身の回りの素敵を切り撮るスタイリッシュフォトレッスンの3コースをメインに大人の女性が優雅に学べるサロンスタイルで開講中。
（なるのだ編集室 桂 知秋）
