自分時間を大切にする英国の日常。その中心にはいつも紅茶があります。
一杯の紅茶から生まれる豊かな時間を、毎月英国の紅茶ブランドをピックアップしてお届けする【英国のティータイム】。
8月は、スコットランドで200年以上の歴史を持つ紅茶・コーヒーのメーカー「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー(EDINBURGH TEA & COFFEE CO.)」についてお届けします。
今回、お話をしてくださったのは、マネージング・ディレクターのケビン・ムーア(Kevin Moore)さんです。
2023.8.7
自分時間を大切にする英国の日常。その中心にはいつも紅茶があります。
一杯の紅茶から生まれる豊かな時間を、毎月英国の紅茶ブランドをピックアップしてお届けする【英国のティータイム】。
8月は、スコットランドで200年以上の歴史を持つ紅茶・コーヒーのメーカー「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー(EDINBURGH TEA & COFFEE CO.)」についてお届けします。
今回、お話をしてくださったのは、マネージング・ディレクターのケビン・ムーア(Kevin Moore)さんです。
写真:ケビン・ムーアさん(左)
Q:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー(EDINBURGH TEA & COFFEE CO.)」の成り立ちを教えてください。
ムーアさん:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の歴史は、アンドリュー・メルローズがエディンバラのキャノンゲートに自身の名を冠した会社「メルローズ ティー カンパニー」を設立した1812年まで遡ります。
創業当初から、最高品質の紅茶とコーヒーだけを調達し厳選すると評判で、今日まで誇りをもってこの伝統を受け継いでいます。
「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」は、「メルローズ ティー カンパニー」のマネジメント・バイアウト(企業買収の手法のひとつ。経営陣自らが自社の株式・事業などを買収すること。)により1990年に設立されました。
現在は、フォース湾に面したエディンバラのポートベローに拠点を置いています。
この海域は、1833年にアンドリュー・メルローズが東インド会社の輸入独占終了後、ロンドン以外では英国初の紅茶商となり、「ティークリッパー・イザベラ号」(※)で中国から合法的に新茶を輸入したのと同じ場所です。
※ティークリッパー:茶を輸送する大型帆船
写真:イザベラ号
Q:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の紅茶の特長を教えてください。
ムーアさん:インド、スリランカ、ケニア、マラウイ、中国といった、茶の産地として確立された生産国だけでなく、インドネシアなど新興の生産国からも茶葉を調達しています。
厳選された農園で収穫された、最高の茶葉のみを選んでブレンドすることで、豊かな水色とコクのある味わいを実現しています。
茶葉はすべて同じ「カメリアシネンシス」という植物から採れますが、何百種類もの茶葉が存在し、それぞれ外観、味、香りに個性があります。
気候や雨量、その他気候条件の変化により収穫される茶葉は年ごとに異なります。
写真:農園での茶摘みの様子
Q:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」ではどのように紅茶が作られているのでしょうか?
ムーアさん:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」では紅茶に情熱を注ぎ、マネージング・ディレクター、ゼネラルマネージャー、製造責任者の3人の上級スタッフによるテイスティングパネル(試飲委員会)を設けています。
茶園への発注を行う前に、すべての茶葉のサンプルを試飲し、色をチェックします。
色と風味が厳しい基準に合致していることを全員が確認して初めて、生産用の茶葉を購入します。
そして、販売する前にもう一度テイスティングテストを行います。
中でも製造責任者のジョンさんは20年以上紅茶・コーヒーの仕事に携わっており、どの茶葉がどのように調和するかについて卓越した知識を持っています。
写真:製造責任者のジョンさん
豊富な経験を通じてジョンさんは素晴らしい味覚を身に着け、紅茶のフレーバーに何を求めるべきかを正確に理解しています。
ジョンさんは朝一番に出勤し、夜は最後に退社します。余暇にはコーヒーショップを訪れ、スコットランドで手に入るさまざまな紅茶やコーヒーを味わい、自分たちが作るものと比較するのが好きです。
写真:テイスティングテストをおこなっているところ
Q:そんなこだわりが詰まった「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の紅茶ですが、現在はどこで楽しむことができるのでしょうか?
英国内に常設の店舗はありますか?
ムーアさん:自社店舗はありませんが、スコットランドの観光地(城や名所など)にある多数のショップや、スコットランド名産のキルトやバグパイプ、カシミア、クリスタル等を販売するエディンバラのギフトショップで販売しております。
他にも、ホリールード宮殿、スコットランド国会議事堂、「セルフリッジズ」、「ハウス・オブ・フレーザー」などといった販売先があります。また、事前注文をしておくとポートベローの自社工場で直接商品を受け取ることもできます。
写真:「ハウス・オブ・フレーザー」の陳列棚
ムーアさん:「#英国ライフ」のオンラインストアでも取扱っていただいている商品(6種類)は、「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の代表商品です。
中でも売れ筋の商品は、アッサム産・セイロン産・アフリカ産の茶葉を使用したスコットランド伝統のブレンド「スコティッシュブレックファスト」です。
力強さと活気を併せ持つ、豊かな黄金色の紅茶は朝の目覚めにぴったりです。
写真:「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の代表商品。左上がスコットランド伝統のブレンド「スコティッシュブレックファスト」
Q:近年、日本では「ヌン活」という言葉が流行るなど、アフタヌーンティーがブームですが、アフタヌーンティーにまつわるエピソードやおすすめの楽しみ方はありますか?
ムーアさん:アフタヌーンティーには、ケーキやビスケットなど、甘いものを合わせるのがおすすめです。
英国では、紅茶にミルクとティースプーン1~2杯の砂糖を入れるのが一般的ですが、好みにより飲み方は様々です。
緑茶・白茶・フルーツティーにはミルクではなく、蜂蜜を少し加えると甘みが増すものもあります。
アフタヌーンティーのほか、スコットランドには「ハイティー」と呼ばれるものもあります。
ポットの紅茶とケーキが提供されるのはアフタヌーンティーと変わりませんが、「ハイティー」ではサンドイッチの代わりにフィッシュアンドチップスやステーキパイなどのホットフードが登場します。
「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」の「ハイランドブレンドティー」は、アフタヌーンティーやハイティーにおすすめで、朝食用の紅茶よりも軽く、甘いお菓子とよくマッチします。
ぜひ試してみてください。
写真:サンドイッチやケーキなどと紅茶を合わせてアフタヌーンティーを楽しんで。
【紅茶インストラクター砂川純子先生のおすすめ】
紅茶インストラクターの砂川純子です。
スコットランドの水は「軟水」です。
日本の水と硬度がとても近いので水質も似ています。
英国では、その土地の水質に合わせて各ブランドで紅茶が作られています。
つまり、「エディンバラ ティーアンドコーヒー カンパニー」では軟水用の紅茶を作っており、皆様のご自宅の水道水で本国と近い味が楽しめます。
今回は2つの紅茶をご紹介いたします。
■スコティッシュブレックファスト
映画『ハリーポッター』の撮影地でも有名な「グレンフィナン高架橋」がパッケージに描かれています。重厚感のある深い味わいで渋みをほとんど感じない美味しい紅茶。朝食に合わせてミルクをたっぷり入れて楽しめます。
■シッスル
スコットランドの国花は「シッスル(アザミ)」。そのシッスルがたくさん紅茶の中に入っているので、見た目にもとても華やかです。シッスルの美しい赤い花びらは紅茶をほのかに赤くしてくれ、味わいもマイルドにしてくれています。クセのない優しい味わいはミルクを入れてもストレートでも美味しくいただけます。
写真:(左)スコティッシュブレックファスト、(右)シッスル
スコットランドにいる自分を想像しながら「エディンバラティーアンドコーヒーカンパニー」の紅茶を楽しむのも嬉しい時間になりそうですね。
素敵なティータイムをお過ごしください。
〈砂川純子プロフィール紹介〉
元ANAのキャビンアテンダントで現在は紅茶インストラクターとして活動。
英国領事館や日英協会関連イベント、百貨店などのセミナー講師、また学校でマナー講演など積極的におこなう。
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