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★【内田祐子 ふわはね絵本のお部屋】★
『おすしやさんにいらっしゃい!』
おかだだいすけ(文)/遠藤 宏(写真)/岩崎書店
夏休みも近づき、店頭には青少年読書感想文全国コンクール「課題図書」が並び始めます。
課題図書には小学校低学年の部、小学校中学年の部、小学校高学年の部、中学校の部、高等学校の部とあります。
今年も多彩なラインナップ。
その中から今回ご紹介するのは写真絵本が目をひく『おすしやさんにいらっしゃい!』
こちらは小学校低学年の部の課題図書になります。
副題には 生きものが食べものになるまで とあります。
ページを開くと見返しには仲の良さそうな女子3人と肩を組み歩く男子4人。
後ろに抱っこされている男の子も。どうやらお寿司屋さんへ行くようです。
でもちょっとかわったお店のよう。
少し心配そうに暖簾をくぐると、カウンターの向こうににこやかな大将。
そして次のページにはどーんと魚やえび、ホタテにイカ、ニョロニョロアナゴ?が生きたままのような姿で並びます。
この絵本はその魚が海から釣り上げられるところから始まります。
生きているところを釣り上げられ、調理され私たちは安心して美味しくいただくことができる。そんな当たり前だけれど、知らないことがいっぱい、この絵本には詰まっています。
まずはキンメダイ。じっくり観察。前から見たり、裏から見たり、口の中も!
そしてさばいていきます。こんなにも丁寧でわかりやすい三枚おろしのやり方をみたことがありません。これは親子でチャレンジしたい。
読書感想文ってそういうことだと思っています。
ただ、その本を読んであらすじをおったり、どう思ったという感想を書くのではなく、その本を読んで実際に行動を起こす。
または過去の自分と向き合ってみる。そうした行動の先に本と共に書けることがでてくると思います。
この絵本なら、実際に魚を買ってきて、市場に行ってみるのもいいですね。いや、釣りに行くのはどうでしょう。
もうそこから書いていけるのではないでしょうか。
読んでいて面白いとおもうのは、やはりそこに実体験があること。
だからこそ言葉に力をもち読み手を力強く運んでくれる。
知らないことを知った時の素直な感想、知っている世界との比較、味や食感もふくめて自分の言葉で表現する大切さ。
本を読んでいるからといって、読書感想文がすらすらと書けるわけではありません。
読書感想文を書くというのはちょっとしたテクニックやコツ、経験が必要であると思っています。
この夏、読書感想文にチャレンジしてみませんか。まずは自分で本を選ぶところから。
押しつけられ書かされるのではなく、課題図書でなくてもいいんです。自分で読んでみたくなる手に取りたくなる絵本、本を探しに来てください。
<プロフィール>
絵本のつなぎて ふわはね(内田祐子)
絵本を描く人作る人読む人読んでもらう人を繋ぎたいと関西を中心に活動を続ける。絵本で作る扉や広がる世界を楽しもうと絵本の紹介や絵本がある暮らし、親子の時間が楽しくなる発信をと綴るインスタグラムは子育て中のお母さんや幼児教育に携わる先生方に支持されフォロワーが15,000人を超える。
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