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売場ニュース
巡ってきた期間限定の果実と言えば「さくらんぼ」。
特に雨量の多い日本においてのさくらんぼ栽培は難しく、東北、北海道以外では上手に育たなかったそうです。
春先の咲く花の時期は大切で、開花中霜に当たってしまうと実がならないこと多く、-2℃、-3℃になると傷ついたり死んだりすることもあるデリケートさ。
また、6月なると果実はぐんぐん成長。
果実の成長と共に皮も同時に成長しますが、一度大きくなると皮の成長は止まり皮はひっぱられている状態。この時期に大雨になると土壌の水分を吸った果実は膨らむのですが、成長が止まった薄い皮は割れてしまうのですって。
6月は梅雨の季節。
成長する6月の日照時間が多いこと、収穫時期となる6月の降水量が少ない気象条件に恵まれた土地だったことに重ね、県をあげて取り組まれ全国一の産地となっている山形県。
寒暖差がないと甘くならないとは言え、その寒さ、また雨や風から守り、人の手とハチの受粉より実をつけ、太陽の恵みを受けながら、つやつやの色鮮やかな美しい赤い宝石が誕生しているのですね。
購入後温度変化が大きいと傷みやすいので、できるだけ涼しいところでの保存が良いと言われています。2~3日で頂く時は15℃程度が適温。
それ以上保存しないといけない場合は野菜室が適温です。
食べる前に少し冷やすと甘さをより感じるので美味しく頂けますよ。
ジャムやコンポート、サラダやおつまみにする時は種を抜くと食べやすくなります。
便利な種抜きの道具があります。
またストロー等使って押し出すように種を取るの方法もありますが、コンポートにする時は手で優しく潰すように種を取り出し果実の穴を貫通させない方がふっくらと仕上がるように感じます。
小さな一粒に疲労回復に期待されるクエン酸やリンゴ酸、ブドウ糖などの糖質類、ビタミンCをはじめとしたビタミン、ミネラル類、葉酸などバランスよく含まれています。
美しい果皮の色はカロテンやアントシアニンの色素で抗酸化作用に期待もできますが、何より可愛い色形は、私の大好きな小さなおつまみにもピッタリ。
塩気と脂質を少し加えてもさくらんぼの上品さは変わりません。
下旬から7月にかけて収穫される紅秀峰や紅てまりは大きな粒に食べ応えと、上品な甘味の佐藤錦よりもしっかりとした甘さを感じられる品種。晩生の品種も含め年に一度の短い果実の旬を楽しみましょう。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。