◎1F
楽しませてもらった桜の木々からは新芽が生き生きと芽吹き始めました。
さて、春に顔を出す竹の新芽であるタケノコ。
その成長は驚くべきもので、顔を出したと思ったら、あっという間に大きくなってしまうそう。
竹が成長すると刈り取って移動させる作業が大変になると、裏山が竹林の友人のお母さまの言葉を思い出します。
タケノコは若い時から節があり、それぞれの節と節の間が同時に一斉に伸びるため成長が早いのです。このためタケノコは節間が短い(狭い)ものがやわらかくて美味しいと言われています。
茹でる際は、外側の皮を3枚ほどむき、穂先を切り落とします。
たっぷりの水の中に糠、赤唐辛子を共に入れて中火にかけ、煮立ってきたら落し蓋をしコトコトと茹でます。(目安は1時間程)
竹串を刺して、すっと中まで通れば茹で上がり。
ゆで汁に漬けたまま完全に冷めるまでおきます。
タケノコが大きく鍋に入らないことがあります。その際は鍋に入る大きさまで皮を剥き、皮2枚程を落とし蓋代わりに一緒に入れて茹でています。
皮付きで茹でる理由は、皮の成分が筍の繊維を柔らかくするからだそう。糠を入れるのは、カルシウムがえぐみ成分のシュウ酸と結合し中和をしてくれる他、でんぷんが酸化を防ぎ白く仕上げるため。(糠がなければ米のとぎ汁でも代用できます。)
唐辛子の辛味成分はえぐみを緩和させるためだとか。
季節の食材に触れることで、昔の方の生活の知恵は感心させられることばかりです。
茹でたてのタケノコで春の鍋料理はいかがですか。
塩と薄口しょうゆで味をつけた出汁に、茹でて薄切にしたタケノコと新わかめ、三つ葉などを添えてしゃぶしゃぶと出汁にくぐらせて頂きます。ボリュームを増やしたい場合は、薄切豚肉を添えるのも良いでしょう。
あれば出汁に山椒の実を加えると、ほんのりピリリとする風味と爽やかなパンチも楽しめます。
無ければ山椒の葉を散らしても。
茹でたタケノコは水につけ、2日に1度程水を変えながら冷蔵庫で保存(5~6日を目安)。
食味が変わるので冷凍は不向きですが、食べきれない時は炊き込みご飯の素として煮含めたものを冷凍しておくと便利です。
さっくり、しゃくしゃくと快い歯触りと、ほんのり滋味深い香りは、春の味覚ですね。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。
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