写真:ペイストリー・シェフのセーラ・エドワーズさん。
木島:このホテルでは、通常のアフタヌーンティーやヴィーガン・アフタヌーンティーの他に、どんなアフタヌーンティーがいただけるのでしょうか?
セーラさん:ご予約時に要望を伝えていただければ、どんなものでも提供するように心がけています。ベジタリアンやグルテン・フリーへの対応はもちろんのこと、アレルギーのある方、糖尿病を患っている方、乳製品を摂ることができない方、またベジタリアンの中でも魚は召し上がるペスカタリアンの方など、食に制限のある方でもご家族や友人たちと一緒にアフタヌーンティーを楽しんでいただけるようにしたいのです。
ケーキは毎日焼きますので、ご予約をいだいたお客様のご希望に合ったものを用意することができます。
木島:通常のアフタヌーンティーと比べて、ヴィーガン・アフタヌーンティーはどのくらいの需要があるのでしょう?
セーラさん:そうですね、一概には言えません。滅多にいらっしゃらないこともあれば、立て続けにオーダーが入ることもあります。平均的には、10名のアフタヌーンティーのご予約があるとすると、そのうち2名ほどがヴィーガン用を希望されます。
木島:つまり20%ほどということですね。けっこう多い印象です。それは最近急に増えたのでしょうか?
セーラさん:確かに、近年需要は増えてきていると思います。10年前と比べても、多くの人がヴィーガニズムに興味を持っています。
ヴィーガンの人ではなくても、スーパーマーケットなどに行けば必然的にヴィーガン食が目に入ってきます。「ヴィーガン」と言う言葉も今では珍しくなくなりました。単に嗜好だけではなく、例えば英国には環境問題に興味を持っている人が多いので、今後もヴィーガン食の需要は増えるでしょう。ですから、ヴィーガン・アフタヌーンティーに期待を寄せる方も今後ますます多くなるのではないかと思います。
木島:特にヴィーガン用のアフタヌーンティーを用意する時に気をつけていらっしゃることは?
セーラさん:ケーキに関しては、できるだけ通常のケーキと味や食感が変わらないように工夫しています。まだ苦情はいただいていませんので、ご満足いただけていると思います(笑)。
更に特に気を付けることといえば、準備段階です。例えば肉類を扱ったまな板などは、しっかり洗浄してからヴィーガン用のものを作ります。
これは、例えばナッツなどアレルギーを持っている方の食品を準備する時も同じです。器具を洗うことはとても大切です。近年はアレルギーを持つ人が増えました。ですから、包丁、まな板を洗う回数も増えましたよ。
木島:ヴィーガン用のスコーンは作るのが難しいと思います。準備段階において、通常のスコーンとはどのような違いがありますか?
セーラさん:私は通常スコーンを作る際には卵を使用しますが、ヴィーガン用の場合は卵は使用しません。代替卵(動物性の原料を使用せず作った、鶏卵の代替品)も売っていますが、私は使いません。そこで膨らませるために、セルフ・ライジングフラワー(初めからベーキングパウダーと塩が入っている小麦粉)に、更にベイキングパウダーを加えます。
木島:なるほど。そのような工夫が先ほどのヴィーガン・アフタヌーンティーの味に繋がっているのですね。
スコーンもケーキもとても美味しかったです。もちろんサンドイッチも!
本日はありがとうございました。
私はヴィーガンなので、少し前まではスーパーマーケットでさえヴィーガン食を見つけるのが困難で、いつも原材料を調べていました。買い物にも時間がかかっていましたが、今ははっきりとパッケージに明記されているので買い物の時間も短縮されました。
また以前はレストランやティールームに行く際は前もってヴィーガン対応のメニューがあるかどうかを確認していました。今ではそれも必要なくなり、行き当たりばったりのティールームでティータイムを楽しむことが出来るようになりました。一度席についてメニューを見た後でお店を出る、ということが全くないとは言えませんが(笑)。
また、今ではロンドンの有名ホテルのほとんどがヴィーガン・アフタヌーンティーを提供していることを考えると、ヴィーガン・アフタヌーンティーが英国中のホテルやティールームに広がる日が来ると思います。そしてそれは意外に近い将来かもしれません。