写真:冬のヒルトップ(Courtesy of Dr. Alice Sage)
木島:訪問客は英国人を除いてどこの国の方が多いのでしょう?
アリスさん:アメリカと、日本の方々が多いですね。
木島:アリスさんが個人的にお好きなビアトリクス・ポターの作品は何ですか?
アリスさん:難しい質問ですね。(しばらく考えてから)ひとつ選ぶとしたら、『まちねずみジョニーのおはなし』でしょうか。
「One place suits one person, another place suits another person. For my part I prefer to live in the country, like Timmy Willie.(ある人はある場所を好み、またある人は別の場所を好みます。私はどちらかと言えば、田舎が好きです。ティミー・ウィリーのように。)」という文章が載っている本です。
木島:私も初めてその言葉に出会った時から、とても印象に残っています。
ところで、自然を保護したいというビアトリクス・ポターが、ヒル・トップの今の賑わいを知ったらどう感じると思われますか?この地域が観光地化されることを懸念したでしょうか?
アリスさん:彼女はこの自然をこのままの形で保存したいと思っていましたが、観光客の重要性も知っていました。ですからユー・ツリー・ファーム(Yew Tree Farm:ヒル・トップ近くの農場)を購入した際に、そこでティーショップもオープンしています。彼女は優れた実業家でもあったのです。
木島:ヒル・トップは、特に彼女自身が使ったものなどが集められていますが、ビアトリクスはここをどのような場所にしたかったのでしょう?
アリスさん:彼女の希望は、ここをビアトリクス・ポターの記念館にしたかったのだと思います。彼女は実際にここに住んだことはありませんが、ヒーリスと結婚して2週間後に、ここから見える「カッスル・コテージ」に住み始め、しょっちゅうヒル・トップにやってきていました。ここで執筆も行いました。そしてヒル・トップをナショナルトラストに寄贈する際には、「このままの状態で残してほしい。」という条件をつけたのです。
木島:ヒル・トップでビアトリクス・ポターが気に入っていた場所はどこだと思われますか?
アリスさん:白いゲートを入ってから家に続くスレート(粘板岩)の小道ではなかったでしょうか?