自分時間を大切にする英国の日常。その中心にはいつも紅茶があります。
一杯の紅茶から生まれる豊かな時間を、毎月英国の紅茶ブランドをピックアップしてお届けする【英国のティータイム】。
2024年1月は「アールグレイ(EARL GREY)」についてお届けします。
今回、お話をしてくださったのは、「#英国ライフ」のイベントの講師や、毎月の読みものでも紅茶の解説をしてくださっている紅茶インストラクターの砂川純子先生です。
Q:様々なブランドから「アールグレイ(EARL GREY)」の紅茶が販売されています。
そもそも「アールグレイ」とはどういうものなのでしょうか?
砂川先生:お茶の木(チャノキ・茶の木)があることはご存知の方も多いかもしれませんが、「アールグレイの木」というものはありません。お茶の木から茶葉を摘み製造されますが、その製造工程の違いによって様々なお茶に分類されます。
例えば、
・その茶葉を発酵しない状態のもの:緑茶
・発酵を途中で止めたもの:烏龍茶
・しっかり発酵させたもの:紅茶
などですが、紅茶にベルガモットの香りを着香したものが「アールグレイ」です。(※ベルガモットは柑橘類の植物です。苦味が強く食用としては使用されません。)
Q:いつごろから紅茶に香りをつけて飲むようになったのでしょうか?「アールグレイ」の歴史を教えてください。
砂川先生:「アールグレイ」という名前は、英国の元首相、第2代グレイ伯爵チャールズ・グレイに由来すると言われています。
アールは爵位を表し、グレイは名前。つまり“アールグレイ”は「グレイ伯爵」と言う意味になります。
グレイ伯爵は紅茶好きとしても知られていましたが、「グレイ伯爵が中国から贈られた着香茶を気に入り、紅茶商に模倣を依頼したことからアールグレイが出来上がった」という説のほか、現在のベルガモットを使った味わいになった過程も含めて、由来は諸説たくさんあり、正確な事はわかりません。
Q:日本では「アールグレイ」はいつ頃から飲まれるようになったのでしょうか?
砂川先生:1971年に輸入が自由化されるまでは、紅茶は高級品で店頭に並ぶことは少なく、日本国内では贈答品としての流通がほとんどでした。
幼いころに家の食器棚に紅茶の缶が置かれていたのをなんとなく覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その当時の贈答品の代表的なのもが「トワイニング(TWININGS)」。
ダージリンやブレックファスト、アールグレイが主となり、中でもひときわ華やかな香りのするアールグレイは当時から大人気でした。
今でも『日本で一番売れている紅茶の種類はアールグレイである』と言う説があるのは、そんな背景からかもしれません。