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春を告げる柑橘、土佐文旦の露地物の季節がやってきました。
越年完熟といって年を越してから収穫されるものもありますが、12月に収穫、貯蔵され追熟された土佐文旦は酸味が減り水分が飛んで甘味が濃縮していきます。
年明けから出荷が始まりますが、2月下旬から特に美味しさが増してきます。
今や、高知県を代表する柑橘ですが、土佐文旦のはじまりは昭和4年鹿児島県のお宅から貰ってきた一本の木を、高知県農事試験場玄関に植えたことが始まりなのだそうです。
美味しさが増し出荷量も増えるので「2」を「ぶんたん」、「13」を「とさ」と呼ぶ語呂合わせから「2月13日は土佐文旦の日」と制定されています。
ぷりっとした果肉、爽やかな酸味とさっぱりとした甘さは、いくつでも食べられてしまう私の大好きな柑橘のひとつです。
柑橘を食べるのに欠かせないグッツが「ムッキーちゃん」です。
これがあれば、土佐文旦もより気軽に頂けます。
食べるのには剥き方の決まりはありませんが、赤道剥きはご存知でしょうか。
土佐文旦の器を使って実が乾燥しないよう、食べやすいように気軽な友人との集いに何度かお持ちしたことがあるのですが、とっても喜んでもらえました。
産地の方や市場の方の剥くスピードには私はまだまだ敵いませんが、美しく皮を剥く事ができ、土佐文旦の器に並べ終えた時の達成感は何とも言えないので、必ず毎年練習しています。
もしよければ、食べる楽しみの前にチャレンジしてみては♪
■土佐文旦の赤道剥き
①ムッキーちゃんを使い(お持ちでない場合は包丁を使って気を付けて切込みを入れて下さい)皮の中心に水平(地球儀の赤道のように)に一周切り込みを入れます。
②切込みに指を入れて上下それぞれ外皮を破らないように皮を外します。
③房を外し、薄皮を剥きます。薄皮を剥いてから、種を取ると実が割れにくいです。④外皮の下部の器に並べていく。
完成~。
なのですが、より美しく外皮の器に並べる私のポイントは、全部入れ終わり上部の外皮の蓋をした後、食べる直前に一度上下逆さにすること。
重力で果実の高さが揃い、蓋を開けた時により美しく皮の器に収まっているように思います。
ここ数年果物人気の理由にもあがる「手軽さ」「剥きやすさ」からは少し遠いですが、以前イベントや販促で「幼いころに母によく剥いてもらい食べていた記憶が蘇って懐かしいわぁ」と言うお声を良くお聞きしました。
漂う土佐文旦アロマや、剥いてもらっているのを「待つ」時間も、思い出の美味しい味になるのだなと感じ、土佐文旦から優しい気持ちを感じ取っています。
まだ残る厳しい寒さですが、土佐文旦の香りで春を感じて頂ければと思います。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。