◎1F
売場ニュース
新緑が眩しい季節。
食卓で眩しく輝くのは緑色の大きな粒子。
鞘から取り出したばかり武庫一寸空豆です。
兵庫県尼崎で生産される伝統野菜のひとつ。
土壌と相性が良く育ててみたところ一粒の大きさが一寸(約3㎝)と大きく育ったことからその名がついたそうです。
今年は桜の開花同様旬が少し早いようですが、今しか味わえない年に一度の非常に短い旬の武庫一寸空豆、もう手に取られましたか。
空豆
ふわふわのワタに包まれた空豆。
植物性のたんぱく質、カリウム、代謝に関わるビタミンB群、ビタミンC、ミネラル類が豊富。
空豆の脂質にはレシチンが含まれています。
レシチンは記憶力、集中力を高めたり、動脈硬化の予防に期待されているものです。
脳の活性化への淡い期待はさておき、近郊の収穫したてを頂けるチャンスなので、思いっきり楽しみたいものです。
そら豆特有の香り、甘味に含まれるブドウ糖やショ糖は収穫後から減っていきます。
さやから出すと水分も蒸発し硬くなりやすいので、食べる直前に出すのがオススメ。
昔から「おいしいのは3日」と言われるほど。購入後は冷蔵庫に入れできるだけ早く頂くのが何よりも美味しい頂き方です。
鮮度の良いものは皮もやわらかいので剥かずに頂くこともで、皮には食物繊維が多く含まれるところ。
塩ゆで、丸焼きとシンプルに頂くのもの美味しい食べ方。
とは言え薄皮が気になる場合は、鞘から取り出した空豆、薄皮ごとワンタンの皮で巻いて揚げるのもオススメです。
ほくっとした空豆の食味と包まれたふんわりとした豆の香りが引き立ち、薄皮も全く気にならずに頂けます。
ペコリーノロマーノをすりおろして塩味をプラスすると小さなおつまみとして美味しく頂けます。
また、さやごと丸焼きにすれば、中のワタまでもスプーンでこそげながら頂くのも美味!!
因みに中のワタは内果皮にあたります。
空豆(種子)を寒さや乾燥などから守ったり、葉、根から送られてきた養分を蓄えておく貯蔵庫の役割をしているところになります。
さて、中の空豆を取り出すとあまりに綺麗なワタ付きの鞘が残り何だか勿体ないなと毎回思っておりましたら、以前、鞘を調理されているレストランもあるとお聞きし鞘の料理に度々挑戦。
こちらは番外編ですが、両脇の筋が口に残るので、包丁で丁寧に取り除きます。
後は食べやすい大きさに切り、XO醤でイカと炒めたり、トマトソースで煮込んだり・・・。
これが思いの他サクサクとした食感がほんのり残り、クセもないのです。
もしかして空豆は捨てるところはないのかも!?
どうぞ短い旬を是非お楽しみください。
<プロフィール>
伊藤 由香 (いとう ゆか)
野菜ソムリエプロ百貨店・野菜ソムリエ協会講師、レシピ提案等で活躍中。長年西洋料理を学んだ後、野菜ソムリエに。旬の野菜を使った食のセミナーはもちろん、自身の子育て経験を生かしたレシピ提案など、親子でできる野菜・果物の特徴を活かしたメニューを得意とする。