◎4階 えほん売場
売場ニュース
『あきのおさんぽいいものいくつ?』
おおたぐろまり作/福音館書店
朝晩、頬にあたる風が心地よく、やっと少し秋らしくなってきたでしょうか。
季節の移り変わりは、暦通りとはいかず、少しずつ少しずつ自然が教えてくれるように思います。
今回ご紹介する絵本はこちら
『あきのおさんぽいいものいくつ?』
福音館書店より刊行の「ちいさなかがくのとも」から生まれた「幼児絵本ふしぎなたねシリーズ」。
作者はライフワークとして身近な自然を見つめるなかで出会った植物や生き物たち、特に野鳥を描いているおおたぐろまりさん。
それはこんな始まり
きょうは おとうさんと おさんぽ
なにか いいもの みつかるかな?
(p1本文引用)
秋の里山を舞台に散歩の途中で出会ったものを、1から10まで数える絵本です。
大きな鳥が1羽、青い鳥が2羽、ザリガニが3匹…と見開き1ページずつの秋の景色に植物や生き物が描かれていきます。
カウンティングブックと呼ばれる数に親しむ絵本で、ページの中に隠れた秋のものたちを探しながら絵本を楽しみます。
そしてふと顔をあげたときに、見える景色が違ってくるように思います。
よく言うのですが、今までも見ていたはずの同じ景色のなかで、知ると見えてくる、気づくことがあります。
稲穂の中に隠れるバッタ、木の根元に生えるきのこ、空を飛ぶトンボ…。
改めて絵本の力を感じます。
大人でもそうなのですから、子どもはその何十倍も、そんなふうに感じるのかもしれません。
親子で見つけた時の「あっ、あの絵本に出てきたやつだよね!」と共有するものが心にある幸せ。
巻末には隠れている場所の答え合わせと、各ページに隠れている他の生き物の名前も掲載されています。
楽しみながら身近な世界を広げてくれる。大好きな人と一緒に。
絵本はそんな素晴らしいツールだと改めて感じた一冊です。
<プロフィール>絵本のつなぎて ふわはね(内田祐子)
絵本を描く人作る人読む人読んでもらう人を繋ぎたいと関西を中心に活動を続ける。絵本で作る扉や広がる世界を楽しもうと絵本の紹介や絵本がある暮らし、親子の時間が楽しくなる発信をと綴るインスタグラムは子育て中のお母さんや幼児教育に携わる先生方に支持されフォロワーが15,000人を超える。
★インスタグラム @fuwahane